作品リスト


東京の青い空(1958〜1959)

■ 少女 長編
(全592ページ)
■  タイでダイヤモンド鉱山を経営する資産家の娘、折原さつきは、バレリーナになる勉強をするため、単身東京にやってきた。
 兄の友人が経営する牧バレエ研究所に入所したさつきは、研究所で出会った山科幸子の家に下宿することになる。幸子は、研究所でも一二を争うバレリーナだが、母親が病に伏せっており、家も貧乏だった。そんな幸子の家庭も、さつきが来たことでがらっと様変わりしていくことになる。
 研究所には、金持ちの金倉美智子という意地悪な生徒がいるが、さつきたちを家に呼んで、みすぼらしい思いをさせてやろうと企む。ところが逆に、さつきが想像以上の金持ちであることに驚く。
 美智子の誕生日祝いの帰り道、さつきと幸子は、さつきの家の財産を狙う秋原黒助一味に取り囲まれる。
 窮地を救ったのはかための虎と名乗る男だった。
 ある日、さつきの家を覗く女性がいた。懐中電灯で照らしてみると、それは自分を捨てて出て行った母だった。母は、鉱山を見つける前の、タイで父や兄が苦労していた時代に、その苦労に耐えきれず、家族を捨てて日本へ帰ってしまったのだ。
 秋原黒助はその母を利用して、折原家から大金をだまし取ろうと計画していたのだ。だが、母は昔の自分の所行を後悔し、いまはさつきを思う一人の母親だった。
 母は、隙を見て秋原の元を逃げ出し、一人で生活するため、女中として勤め始めた。だがその家は、意地悪な美智子の家だった……
S050